講師インタビュー

 由季先生に、「レッスンに懸ける思い」をお聞きしました。直前のレッスンでは、終了間際に大きな笑い声が!一体、何があったのでしょうか!?(2016.7)

何気ないやり取りがレッスンの潤滑油に

DSC_0029.JPG――レッスン終了間際に、とても大きな笑い声が聞こえてきました。何か面白いことがあったのでしょうか(笑)。

 「聞こえましたか(笑)?先程のレッスンでは、生徒さんと選曲の相談をしていました。候補の数曲の中で、生徒さんは表向きには「Bも良いけど、やっぱりAかな」と言っていたのですが、本当はBをやりたそう。私もチャレンジになるだろうと思い、Bを押していました。せっかく向上心が強いのに、無難な方を選んでしまうというのは、多くの生徒さんに共通することです。なかなか踏ん切りがつかないので、「では、Bは難しいので、今回はAにしましょう!」と言ったら、「え?それは悔しいな。じゃあ、Bにします!」と。それで大爆笑となったわけです(笑)。」


――なるほど(笑)。結果として、生徒の決断を後押しした形になりましたね。

 「生徒さんがちょっとした緊張でカッコつけていたところから、自分をさらけ出してくれる時や、こっそり自分の胸の内を打ち明けてくれた時というのは、本当に嬉しいですし、心がほぐれる瞬間でもあるのです。こういうやり取りは、一見、レッスンとは直接関係の無いもののように見えますが、そうやって本音を引き出す過程がないと、歌はうまくなりません。一方通行ではなく、二人三脚でレッスンを進めていったときに、生徒さんの実力は飛躍的に伸びるのです。逆に、レッスンで私だけが笑っているというのは、まずい状況です(笑)。」

 「もちろん、最初から自分のことを話せる人なんていません。恥ずかしいですから(笑)。なるべく笑いの多いレッスンを心がけているのは、単純に生徒さんが話しやすいムードを作るということもありますし、また、たとえ失敗したとしても、いい失敗だったら、笑って流すことができる。思い切りやって音を外した時には、笑って、「いいね!今の。もう一回行こう!」みたいなムードは大事にしています。「なんで間違えたのか」とか、傷口をえぐるような、そういうシリアスなレッスンはしません(笑)。」



音楽講師になったのは憧れから

DSC_0014.JPG――そうやって、生徒との対話を大切にしている由季先生ですが、そもそも、先生になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

 「一番最初は、初めて習ったピアノの先生への憧れです。優しくて、自分を伸ばし、育ててくれる先生でした。得意なものを作ってくれたとも言えるかもしれません。「由季ちゃんはピアノが上手よ」と言ってくれた先生に憧れて、単純にその先生みたいになりたいと思ったのが、最初のきっかけなのです。保育園の卒業アルバムには、「将来はピアノの先生になりたい」と書いてあります。」

 「そのあと、出会った小学校やお稽古ごとの先生など、「先生」と名の付くものの職業の人たちは、大好きな良い先生ばかりでした。先生運が本当に良かったのです。それで、先生という仕事、先生という名の付く職業に憧れるようになりました。今、思い返すと、自分の良いところを認めてくれる大人が、私の周りにたくさんいました。ピアノ、そろばん塾、ブラスバンド部・・・。教えることに情熱を注ぎ、いつも一生懸命な先生に出会ったことは、本当に運が良かったとしか言えません。単純にかっこいいと思いました。」

 「大学を卒業する際に選択肢としてあったのは、ピアノ、リトミック、歌の3つでした。その中で、単純に自分が一番好きだったのが、歌だったのです。でも歌は、大学の学習過程の中では、学んだ時間が一番短かった。だからこそ、自分で意欲をもって学ぶことができたのだと思います。歌の心地良さを感じたこともありますし、なにより、自分が一番得意だと思えたのが歌でした。歌はお芝居の要素も絡んできますし、表現する幅が広く、とっても面白いと思います。」



生徒さんにとって身近な存在でありたい

 大学卒業後、音楽教室に歌の講師として7年間勤務。その後、夫婦で歌の教室を開校することになる。

――教室はどのような雰囲気なのでしょうか。また、どんな人が通っていますか?

 「生徒さんは、面白い人が多いです!歌という共通点はありますが、普段のお仕事などは本当にバラバラで。私が一生かけても出会えなかった人ばかりで、音楽以外の面では、私が勉強をさせていただいているくらいです(笑)。また、この教室に集まる皆さんは、とっても前向きなのです。歌が得意だという人もいるし、歌が苦手だという理由で来ている人もいます。大人になってから、苦手を克服しようとしに来ている時点で前向きだと思いますが、失敗することもプラスになるんだと思っている人が多いこと自体、驚きです!そういう意味では、レッスンはとても楽です。後ろ向きな気持ちでは、できることが限られてしまいますから。」


――レッスンをしていて、大変だなと思うことはありますか?

 「レッスンについては、「歌のレベル」と「大変さ」とは全く関係ありません。ですので、内容面で大変だと思うことは無いのですが、もしあえて大変だと思うところを挙げるならば、生徒さんと、本当の意味でのコミュニケーションを取れるようになるまでが大変です。生徒さんが私に対して気を遣わなくなるまでの時間が大変と言いますか、必要な時間なのですが、少し大変だと感じます。」

 「歌声には、体や心の変化が影響します。月2回のレッスンでしか会えないから、その間に何が起きているか、歌へのモチベーションがどのように変わってきているのか、その日の体調はどうかとか、気に掛けるものが多くなります。ところが、生徒さんの持っている一般的な先生のイメージというのは、ストイックで甘えを許さないという感じのようで(笑)。お医者さんの問診のように身構えてしまって、レッスン開始当初は、あまり本当のことを言ってくれません。」

 「ですから、まずは先生という人間が万能だと思われないように、普通の人間だというところから入ります。おなかもすくし、眠いこともあるし、息子がいうことを聞かなくて悩むこともあると(笑)。私自身は、生徒さんにとって身近な存在でありたいと考えています。人と人とのコミュニケーションを大事にしています。そして、一方的なレッスンではなく、双方向になるように心がけています。先ほども触れましたが、二人三脚で進めていった方が、楽しいですし、上達が早いので。」


DSC_0026.JPG――なるほど、だからレッスン室から笑い声が絶えないのですね。個人レッスンならではのエピソードだと感じます。

 「個人レッスンといえば、面白いのは、生徒さんの成長する姿、その瞬間を間近で見られることです。何が楽しいってそれですよ!生徒さんが歌に入っていってしまい、私がはじき出されることがあります。そうなったときは最高です!私のことを気にしないくらいに歌の世界に入っていき、不意に、私はひとりのお客さんになってしまう。そんな時は、レッスンであることを忘れてしまいます。」

 「歌とその人がひとつになる。これが究極の状態です。楽しい!生まれた!歌が生まれた!その人から今生まれた!というような感覚。もちろん、頻繁にあるわけではありませんが、そんな日を思い浮かべながら、普段からコツコツと積み重ねていくのです。」


――最後に、このインタビューを読んでいる方々へメッセージをお願いします。

 「過去、どれくらい歌に触れていたかは関係ありません。できるだけキャリアの長い人に来てほしいとか、声に対してコンプレックスを持っている人は来ないでほしいとか、そういう気持ちは一切ありません。どんな人でもウェルカムです!ただ、「自分の足で前へ進むんだ」という気持ちを持っている方に来ていただきたいと考えています。受け身の姿勢ではなく、自ら進んで取り組むことが上達へのカギとなるからです。そういう思いがあれば、私は労を惜しまず、全力でレッスンをしていきます。」

 「単純に歌のある生活っていいじゃないですか。歌を楽しむ観点も併せてどんどん提供していきますので、ぜひ一緒に、歌の楽しさを味わいましょう!楽しい時、悲しい時、人を励ますときに、いつも歌がある。歌があったらいいなと思う。そういう良さを、過去、たくさんの先生から教えていただきましたし、私自身も、それを伝えていきたいと思っています。元気でかわいい先生がお待ちしています(笑)。」

――本日は、どうもありがとうございました。


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